ONE POINT
名古屋市天白区八事天道に鎮座する五社宮の紹介です。延喜式内社である稲木神社の流れを汲む神社で、江戸時代までは高照寺が別当を務める神仏習合の神社だった様です。
神社情報
神社名 | 五社宮 |
鎮座地 | 名古屋市天白区八事天道三二二番地(Googlemap) |
例大祭 | 十月第二日曜日(旧:十月十七日) |
創 建 | 不詳 |
御祭神 | 天照大御神 月夜見尊 五百箇磐石尊 豊受大神 須佐之男命 |
旧社格 | 村社 |
神名帳 | ー |
境内社
境内社 | 秋葉宮(御祭神;加具土命) 天道稲荷社(御祭神:宇迦之御魂大神) |
文化財
国 宝 | ー |
国指定 | ー |
県指定 | ー |
市指定 町指定 村指定 | ー |
参拝情報
御朱印 | ○ |
URL | Facebook:https://www.facebook.com/yagotogosyagu/ |
駐車場 | ー 周辺のコインパーキングを使用 |
参拝日 | 2022年4月6日 |
御由緒
社頭に掲げられている五社宮御由緒では、元尾張国丹羽郡寄木村に天道宮と称し鎮座し、天道山高照禅寺が祭祀と執り行っていたが故あって寛保元年(1741年)に現在の地に遷座したとあります。明治政府の神仏分離策によって高照寺と神祇が分離され創建したのが五社宮であるとしています。
天道宮と高照寺
江南市高木町稲木に延喜式内社(尾張国丹羽郡 稲木神社)に比定されている稲木神社(Googlemap)が鎮座しています。この稲木神社、江戸時代には「天道宮」と称し、天道山高照寺の僧尼が別当を務める神仏習合の神社だったが、寛保元年(1741年)に高照寺と共に天道宮は愛知郡八事村野方新田に遷座したという。
文政五年(1822年)に樋口好古によって書かれた「尾張徇行記」によると、「寄木村(江戸時代では現在稲木神社が鎮座する周辺は寄木村と呼ばれていたようです。)・・(中略)・・・一 寺一軒、寺内年貢地、此丘尼永徳、又社二ヶ所、内日ノ宮星ノ宮月ノ宮天王社神明社内九畝歩野ノ内前々除、覚書あり。此寺は旧不易山天道寺と号せしが、寺社帳に漏れ、アラハニ寺号ニナラザルガ故に享保九年甲辰年津島天王ノ社僧不深坊ノ譲りをうけ、天道山高照寺と改号す。寛保元辛酉年天道宮並五社神共に愛知郡八事村野方新田の内へ遷座す。今祠跡に槇の木を植えて印とす。地内は皆畑なり。 ○廃稲置天神祠、在寄木村、延喜式、丹羽郡稲木神社、本国帳曰、従三位稲置天神、集説古事記曰、大中津日子命稲木之別尾張国別祖也、後世称為天道祠、禅尼掌社務、毎年十月十五日閣境百姓宿祠殿、至朝拝日、遠近則丹羽郡本土之神也、為浮屠掠略、檀移他邑、可惚・・(後略)」と書かれています。
寛保元年(1741年)に行われた八事村への遷座の経緯は不明だがこの時天道宮と共に境内社であった五社(日ノ宮、星ノ宮、月ノ宮、天王社、神明社)も併せて遷座しています。(この五社が現在の五社宮になります。)
名古屋名所図会
江戸時代に発刊された名古屋名所図会に「天道高照寺」の挿絵が載っていました。こちら名所図会でも天道社(宮)は延喜式内社稲木神社であり、別当は尼寺である高照寺であると紹介されています。
稲木神社の紹介
神社名 | 稲木神社 |
鎮座地 | 愛知県江南市寄木町稲木九十六番地(Googlemap) |
御祭神 | 天照大御神 大中津日子命 |
境内社 | 日宮社(御祭神:天照大御神) 月宮社(御祭神:月夜見尊) 星宮社(御祭神:五百箇磐石尊) 神明社(御祭神:豊受大神) 八坂社(御祭神:須佐之男命) 上記五社は寛保元年の天道宮と共に愛知郡八事に遷座したが、明治元年、稲木神社と共に現在の地に復したものである。 秋葉社(御祭神:火産霊神) 稲荷社(御祭神:宇迦之御魂命) 祓戸社(御祭神:速開津姫神、速佐須良姫神、気吹戸主神、瀬織津姫神) 白山社(御祭神:白山比咩命) |
稲木神社の由緒なども踏まえて考察すると、時期不詳ですが丹羽郡寄木村に大中津日子命を御祭神とする稲木神社が創建された。平安時代に編纂された延喜式の神名帳に「尾張国丹羽郡 稲木神社」として記載されるなど、当時は非常に栄えていた神社であると考えられます。
しかし、歴史の中でその鎮座地などが不明となってしまっていましたが、江戸時代、尾張藩天野信景によって当時「天道宮」と呼ばれていた神社を延喜式式内社の比定社とした。当時は、天道宮は「不易山天道寺」が別当を務める神仏習合の神社となっていたが、尾張藩の意向があったのかは不明ですが、津島天王社の社僧である不深坊が天道寺を譲り受け、臨済宗に改宗して中興開山し寺名を「天道山高照寺」に改称しています。
そして、さらに寛保元年(1741年)、尾張藩の命により丹羽郡寄木村から愛知郡八事村野分新田に遷座。その境内地はかなり広大だったことが先に紹介した名古屋名所図会の挿絵からも窺い知る事ができます。
こうして、神仏習合となっていた天道宮と高照寺ですが明治時代になり神仏分離が政府から通達されると、明確に天道宮と高照寺は分離されることになります。そして分離に際し、天道宮の主祭神である「大中津日子命」を始め五社は元々の境内地である丹羽郡寄木村に再度遷座しています。この遷座に際し、境内社である五社を分祀し、八事村に社を構え「五社宮」として祀られる事になります。
- 寛保元年(1741年):天道山高照寺が丹羽郡寄木村より八事山に遷座
- 天道宮(御祭神:大中津日子命)が高照寺と同時に五社と共に八事山に遷座
- 日ノ宮(御祭神:天照大御神)
- 星ノ宮(御祭神:五百箇磐石尊
- 月ノ宮(御祭神:月夜見尊)
- 天王社(御祭神:須佐之男命)
- 神明社(御祭神:豊受大神)
- 天道宮(御祭神:大中津日子命)が高照寺と同時に五社と共に八事山に遷座
- 明治元年(1868年):神仏分離策により仏教色を排除して五社宮と称す。
- 天道宮(御祭神:大中津日子命)は元の丹羽郡寄木村の旧境内地に遷座。
- 明治五年(1872年):村社に列格
日・月・星・神明・天王の五社を祀るため五社宮と称する。創建不詳。寛保元年(1741)丹羽郡稲木荘寄木村の天道宮を八事山に遷座。神仏混淆して寺院となった天道宮を八事山へ遷座に際して旧来の神祗として祀った社が五社宮である。明治維新の神仏分離令により高照寺と分離した。
名古屋市天白区役所「史跡散策路」より
寛保元酉歳(1741年)五月二十八日尾張国丹羽寄木村より遷座し祀る。石坂の産土神として崇敬あつく、明治五年、村社に列格する。昭和三年十月、社務所を新築した。
愛知県神社庁発刊「愛知県神社名鑑」より
御祭神
- 天照大御神
- 月夜見尊
- 五百箇磐石尊
- 豊受大神
- 須佐之男命
御朱印帳の保管に
数年前より非常に集める方が増えた「御朱印」ですが、皆様は御朱印帳はどうやって保管していますか?神社・仏閣を廻って御朱印を受けているとあっという間に御朱印帳の冊数が増えていきますが、そのまま棚などに置いている方が多いのでは?。せっかくお受けした御朱印ですので、日本では古くから着物を始めとして大切なものを保管する為に使われていた「桐箱」に入れて保管した方がよろしいかと思います。
ぜひ、皆様も桐箱に御朱印帳を保管されてみたらいかがですか?
参拝記
名古屋市営地下鉄の鶴舞線と名城線の乗換駅である「八事駅」から南西に200mほど歩いた所に鎮座しているのが今回紹介する「五社宮」になります。駐車場がない様ですので車で参拝されるかたは周辺のコインパーキングを利用する事になります。神社脇には境内への車入れがあるのですがこちらは神職または年行事や氏子総代の方が使用する為のものだと思うので使わない様にしましょう。
境内入口
五社宮の境内は前面の道路から見るとかなり高い場所にある様に見えます。八事周辺は丘陵地域だったするので周辺の道路は非常にアップダウンが激しかったりします。五社宮の境内地も社号標が据えられている正面側が一番低く本殿が鎮座している辺りが一番(標高)が高い場所になっています。境内を平らにするとこれだけの石垣を組む必要があるくらい高低差があるわけですね。
前面道路から石段の参道が伸びています。ちなみにここ五社宮は東入り境内東向きの社殿の様式となっています。
鳥居
石段を登った先に据えられている石像神明鳥居になります。
旧社号標
戦前に設けられた旧社格が入っていたはずの社号標になりまっす。なぜこんな形になっているのか・・・太平洋戦争末期の名古屋空襲によって破壊されてしまい、遺構としてここに据えられている様です。
これもまた戦争遺跡・・・
狛犬
昭和十三年生まれの子乗り玉乗りの狛犬一対になります。この子たちは空襲の被害から逃れられたようですね。
社殿
切妻造瓦葺妻入の開放型の拝殿を有する社殿になります。社殿の前には・・・
名古屋地区の神社では定番となっている蝋燭台がすえられていました。
本殿は五社宮の社名の由来となっている五社の本殿が御垣内にそれぞれ鎮座しています。
拝殿には御祭神がどの御社に祀られているのかすぐわかる様に配置図が掲げられていました。こうした配慮は大変うれしいですね。
境内社
社号標が据えられて一目瞭然ですが境内社の秋葉社になります。
まだ真新しい朱塗りの鳥居と御社が目を引く天道稲荷神社になります。こちらの稲荷社は近年勧請されたのでしょうか。
参拝を終えて
今回は周辺の桜がかなり舞い散っている中での参拝にだったりするのですが、もうそろそろ桜も見納めかなと思っていたら、ここ五社宮では拝殿前の桜がまさに満開でした。静かに桜を見上げさせて頂き、しばし春を堪能していました。
鎮座地を神社で確認
神社名 | 五社宮 |
鎮座地 | 名古屋市天白区八事天道三二二番地(Googlemap) |
例大祭 | 鉄道:名古屋市帝地下鉄・鶴舞線・名城線「八事駅」徒歩3分 バス: |
ご自宅にお札は祀られていますか?
実家には神棚はあっても、今お住いの所には神棚がない方も多いかと思います。神棚には、日本の氏神である"天照大御神"とご自身がお住いの氏神様のお札を掲げると御神徳が宿るとされています。
賃貸住宅などに住まわれて簡単に神棚を掲げられないという方もお勧めなのが、
南向き、もしくは東向きになる様に、そして目線の高さより上になる様に、棚などの上において頂くとよいかと思います。是非、皆様もご自宅に神棚をご用意いただき、御札を納めてほしいなと思います。