愛知県十名所を知ってるかい？

　愛知県十名所ってなんぞや？

　当サイトで紹介している西尾市西幡豆町に鎮座する「幡豆神社/紹介記事」の境内に「愛知県十名所幡豆海岸」と彫られた石柱が据えられていました。
　この石碑を始めてみた時は、「へー、愛知県に十名所なんてあったんだ。」くらいにしか思わず、返ってから他の九ヶ所を調べようかなって簡単に考えていたのですが・・・

昭和二年に愛知県十名所に選定された記念に建立された石柱なんだとか。

　帰宅後、「愛知県十名所」をGoogle先生に尋ねてみると、いやー中々ピンポイントの情報が見つかりません。色々なサイトを見て回って、どうやら昭和二年（1927年）に新愛知新聞社が読者投票によって愛知県の新名所を選定したものだということが解ってきました。
　さらに、なにやらこの投票が行われた当時は、一新聞社の企画ながら、各自治体まで動いて「おらが村に新名所を！」みたいな感じでかなりな組織票が投票されたようで、愛知県下ではかなりの熱気を帯びたイベントだったようです。

　ただ、じゃあ十名所はどこなの？と調べても、検索に引っかかるのは、勘八狭、相生山の二ヶ所が大半で、幡豆海岸も殆どHITません。（当サイトも出てこないのでかなり下位の様で悲しい事に・・・。）一度、どこかのサイトで十名所の一覧を見た記憶があるのですが、ブックマークしておらず、結局見失ってしまい、十名所が何処かまったくわからなかったのですが、この度、ふとしたきっかけで愛知県十名所について記載されている図録を手に入れて、ようやく十名所を知る事ができました。

　この図録によると、読者が新名所候補を記載したハガキを新聞社に送って、得標順位1位～10位までを「愛知県十名所」に、さらに11位から20位を「愛知県十勝地」に選定しているようです。得票数100票以下は公表されていませんが、100票以上集めた候補地は57ヶ所に及んだそうです。この辺りからもかなりな組織票が動いている事は間違いないかと思われます。

その他の十名所はあるのか？

　元々、愛知県十名所の選定を行う前に、新愛知新聞社は大正十四年に「大名古屋市十名所」を選定しています。様は、名古屋市十名所の選定が大きな反響を得たため、十名所選定の愛知県版を開催したという事みたいです。

　実は、新愛知新聞社は「中部日本各府県下十名所選定」と銘打ってその第一弾として愛知県の十名所投票を開催しています。この愛知県の投票とほぼ同時期に「三重県」「岐阜県」の十名所投票が行われ、昭和四年には「福井県」「石川県」の十名所投票が行われています。その他、昭和三年には長野県でも投票が行われた様なのですが、こちらは当時の資料が残っていないようです。

愛知県十名所を紹介

　どうです？この順位は納得できますか？岡崎市民としては、岡崎公園と岩津天神がランクインしている事に驚きを禁じ得ないわけですが。しかも1位と9位って・・・。そんな気分でランクを見ると動員ありきで純粋な新名所が選定されたという感じは正直薄いですが、これだけの投票数を集めるだけの熱気やひきつける魅力が愛知県新十名所選定事業にはあったということなのでしょう。
　そうそう、この十名所は選定発表後、それぞれを紹介する為に「各名所を映画化」したそうですよ。動画で名所を撮影してもらえるというのも当時としてはかなりのプレミアポイントだったはずです。現代だったら有名ユーチューバーに名所紹介PVを撮影してもらってチャンネルで公開してもらうって感じでしょうか？

　愛知十名所選定の中で、11位から20位までの十ヶ所はいわば「愛知県十勝地」として選定されています。最初から十勝地を選定する事が決まっていたのか、それともあまりにも投票が過熱しすぎて急遽準十ヶ所とも言うべき十勝地を選定したのかは不明です。

　幡豆海岸と宮崎海岸とほぼ隣り合っている海岸・・・というか海水浴場と言い換えた方がいいのかな・・が8位と16位にランクインしています。護岸工事などは行われているので100％当時の姿とはいかないでしょうけど、両海岸とも沖合が埋め立てらる事もなく現在でも海水浴場として夏場は非常に観光客が押し寄せるスポットとなっています。これに対して14位の大浜海岸も選定されたころは非常ににぎわったスポットなんだそうですが、現在では沖合は埋め立てられてしまいその姿は消滅してしまっています。

　知多郡として候補地を一つに集約して動員すれば確実に岡崎公園を超えて1位だった思いますが、現在の東海市、半田市、常滑市、南知多町でそれぞれ候補地に投票しているのでこの順位にとまっているわけですね。

　得票数100票を獲得した57番目の名所まで発表されています。ここまでの応募総数は1,414万票となっています。愛知県全県を選挙区とする参議院選挙愛知選挙区の選挙以上の熱い戦いが繰り広げられていたのは間違いない様です。

これからのんびり新十名所を巡って行きます。

　この57ヶ所の内、1ヶ所だけが何処なのかが分からないのですが、それ以外は何とか現在でも残っているようですので、順不同にはなるかと思いますが紹介していきたいですね。
　海岸とか公園でどれだけレポートする事があるのかは、現地に行ってからのお楽しみですね。