名古屋市守山区 蓬莱七福神

玉峰山宝勝寺(名古屋市守山区市場) 蓬莱七福神/毘沙門天

2020年3月30日

令和四年新企画のお知らせ

新企画「愛知県下新十名所」

 新愛知新聞社が昭和二年(1927年)に「愛知県の新十名所を読者投票で決定する。」というイベントを実施します。愛知県下を狂気の投票合戦へと誘ったこのイベントへの投票総数は驚異の1400万票以上。また、100票以上の投票を集めた名所候補は67カ所にも上ります。2022年、当サイトではこの67ヵ所の名所を巡り紹介していこうと思います。

ONE POINT

名古屋市守山区にある「守山城跡」に寛永十四年(1637年)に守山崩れによって不慮の死を遂げた松平清康の菩提を弔うために建立された寺院になります。

寺院紹介

寺院概要

寺院名 玉峰山宝勝寺
所在地 名古屋市守山区市場四番地四十五番
創 建 寛永十四年(1637年)
宗 派曹洞宗
御本尊十一面聖観世音菩薩

霊 場

霊 場 蓬莱七福神/毘沙門天

蓬莱七福神とは?

 旧瀬戸電鉄(現在の名古屋鉄道瀬戸線)沿線に開設された七福神霊場になります。当時は、蓬莱七福神巡拝記念乗車券が発行されるなど、瀬戸電鉄の地域観光としてかなり力が入れられていた様です。戦前はこうした七福神霊場が名古屋市周辺にいくつも開創されたみたいです。

大黒天松栄山長慶寺名古屋市守山区小幡中2-24-45
福禄寿仏日山法輪寺名古屋市守山区大森3-2101
寿老人医王山長命寺名古屋市守山区白沢町319-1
弁財天巨嶽山観音寺春日井市松河戸町824
恵比寿萬安山良福寺尾張旭市印場元町北山4378
布袋尊弘法寺(廃寺)
→安休山利海寺
名古屋市守山区小幡字北山
→名古屋市守山区西城1-10-40
毘沙門天玉峰山宝勝寺名古屋市守山区市場4-45
別格宝船松洞山竜泉寺名古屋市守山区竜泉寺1-902

文化財

国 宝
国指定
県指定
市指定
町指定
村指定

参拝情報

御朱印
URL
駐車場
参拝日2020年1月29日

御由緒

 桶狭間の合戦後、又は長嶋一向一揆の制圧後に廃城となったと伝えられる「守山城/紹介記事」の跡地に建立された寺院になります。

 天文四年十二月五日(1535年12月29日)の早朝、「森山崩れ」と呼ばれる、松平家七代「松平清康」が家臣である「阿部正豊」に惨殺されてしまう事件が発生します。清康の遺骸は岡崎に運ばれ荼毘に付され埋葬されていますが、亡くなった地という事で、現在の守山区大永寺町にある「寿昌山大永寺」七世大渓良澤和尚が清康を弔うために、寛永十四年(1637年)守山城跡の南側に建立しています。建立年を見ても、既に江戸幕府は開幕している所を考えると、幕府もしくは尾張徳川藩の了承を得た寺院建立なのではないかと思います。
 そういった経緯で建立された寺院ですので、本堂内には、三つ葉葵の家紋が施された厨子の中に松平清康の位牌が安置されています。

守山城と小幡城

 勝宝寺を建立した大渓良澤和尚は「小幡城」城主「岡田与九郎重頼」の子にあたる人物になります。当サイトでは守山城は桜井松平家祖「松平信定」が大永年間に築城したという説が有力でないだろうかと紹介していますが、この守山城から北東側に直線距離で1.8kmほどしか離れていない場所に、大永二年(1522年)に「岡田与九郎重頼」によって「小幡城」が築城されます。

 岡田与九郎重頼は、岩倉織田家とも言われる「織田信安」の家臣だったと伝えられていて、守山の地は、東から松平氏が勢力を伸ばし、それを防ぐように、織田信秀だけではなく各織田家が支城を築城し防衛していた場所なのではないかと思う訳です。

 時は流れ、明治時代に入ると、名古屋城下から瀬戸までを結ぶ「瀬戸電気鉄道」が開業します。名古屋城の空堀の中を走る「お堀電車」で有名なあの路線です。昭和に入ると瀬戸電気鉄道は小幡駅から分岐する形で龍泉寺に通じる新路線の敷設を計画しますが、結局諸事情により計画は頓挫してしまします。しかし、その後も瀬戸電気鉄道による沿線開発は続けられたようで、名古屋市、春日井市、尾張旭市にわたる「蓬莱七福神/紹介記事」が開創され、「宝勝寺」には毘沙門天王が奉安され、毘沙門堂が建てられています。
 蓬莱七福神は愛知電気鉄道の「四国直伝弘法」、三河鐡道の「(旧)三河新四国」と同じように、鉄道会社によある乗客確保のために作られた霊場であると言えます。大正期から昭和初期にかけて鉄道会社が霊場開創に尽力するのは全国どこでも行われた事なのでしょうかね。

守山町大字守山字市場千五十番にあり、曹洞宗大永寺末にして宝勝寺は玉峰山と号し、本尊を観世音とし、守山城趾の廊内に建てられたり。寺伝に宝勝寺は天文年間、松平清康兵を率い尾張を侵略せんとして守山城を陥れ之を據れり、天文四年十二月清康家臣の為に殺される。降て寛永十四年に至り大永寺七世大渓良澤和尚、清康の菩提を弔わんとて此寺を建立し、自ら開山となりし由云へり。

愛知県東春日井郡誌より

愛知県下新十名所

 「」は昭和二年に昭和二年に新愛知新聞社(現:中日新聞)が読書の方達からの投票によって愛知県の新しい十名所を決定しようという企画「愛知県下新十名所」において「4,433票」を集めて「第36位」になっています。

宝勝寺毘沙門天36位/57位4,433票

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御朱印帳の保管に

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 ぜひ、皆様も桐箱に御朱印帳を保管されてみたらいかがですか?

歴史探訪

 「森山崩れ」の舞台とも言われる「守山城」を訪れ、その城郭内に建つと言われる「玉峰山宝勝寺」を参拝していきます。由緒でも書いたように松平清康を弔うために建立したという事で、岡崎市にある清康所縁の寺院以外では唯一位牌が安置されている寺院のようです。

参拝記

 大曽根から「矢田川」を渡河して、矢田川堤防を左折して三本目の路地を右折すると丁度今回参拝する「玉峰山宝勝寺」の参道の所に出る事ができます。ただ、車で参拝される場合、参道からではなく通用口から境内に入る事になるのですが、道が細いので注意して下さい。

参道

 石畳が敷かれた参道の奥に石段が続いています。車で参拝する場合は、石段を登り切った所に立っている山門の脇から通用口が伸びているので、そちらから境内に入ってきて用意された駐車場に向かう事になります。

山門

 単独で建っている薬医門の山門になります。山門に「曹洞宗宝勝寺」と書かれた寺号札が掲げられています。

本堂

 入母屋造瓦葺平入の向拝が設けられている本堂になります。本堂の造りですが、寺院の本堂としては低床化されている本堂になっていると思います。
 こちらに本尊の十一面観世音菩薩像が奉安されています。「松平清康の位牌」はその脇に奉安されているんでしょうか。

毘沙門天堂

 こちらが蓬莱七福神の札所本尊である「毘沙門天」が奉安されている寄棟造瓦葺妻入りの唐破風が設けられた向拝が設けられている毘沙門天堂になります。

 毘沙門天堂に掲げられている扁額になります。
 蓬莱七福神の霊場は他の霊場と同じように太平洋戦争の敗戦後に急速に衰退してしまったようです。現在ではどれだけの方が回っているのでしょうか。

御朱印

確認していない為、御朱印を頂けるかは不明です。

参拝を終えて

雑誌・マンガに加えて旅行雑誌の定番"るるぶ"も月額500円(税抜)で読み放題!

やはり、旅先の情報はネット検索もいいですが、るるぶなどの旅行ガイド雑誌が一番ではないかなと思います。ネット情報はどうしてもディープになりがちで、いざ旅行に行こうと思っても、俯瞰的な情報が不足しがちな気がします。 やっぱり、"るるぶ"を見ながら、旅の予定表を作っていくのも、旅行の醍醐味ですよね。

所在地を地図で確認

寺院名玉峰山宝勝寺
所在地名古屋市守山区市場四番地四十五番
最寄駅鉄道:名古屋鉄道 瀬戸線「矢田駅」徒歩9分
バス:

寺院・霊場巡りの際のバイブルに

 元々、当サイトは神社巡りを通じて、皆様の住んでいる所にある"村の鎮守の神様"と呼ばれる神社を紹介してくサイトを目指していたんです。むしろ寺院については、縁遠いものとおもっていたんですよね。しかし、ちょっとした御縁で弘法大師霊場に出会い、そして愛知県では一番活動が盛んな"知多四国霊場"を巡礼、結願する事になりました。でも、神社の事はある程度知識があっても、寺院については未知の世界だったので、少しでも巡礼の時に役に立てばと思い、こちらの本を読ませて頂いております。

少しでも巡礼の時にお役に立てる事もあるかと思います。是非一度読んでみてくださいませ。

 

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