(旧)三河新四国八十八ヶ所 三河新四国八十八ヶ所 碧南市 秋葉山常夜燈

東照山 称名寺(碧南市築山町) 三河新四国霊場七十七,七十八番札所

令和四年新企画のお知らせ

新企画「愛知県下新十名所」

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寺院情報

寺院名 東照山 称名寺
所在地 碧南市築山町2-66
御本尊 阿弥陀如来
宗 派 時宗
創 建 暦應二年,興国元年(1339年)
札 所 三河新四国霊場 七十七,七十八番札所
御朱印
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参拝日:2019年5月24日

三河新四国霊場札所一覧

沿革・由緒

時宗の寺院にして、相州藤沢清浄光院の末寺たり。寺伝には、興国元年(1339年)遠江守和田親平の建立する所にして、僧聲阿弥彌を以て開基とす。後年に及び寺領七百石を有せしが、関白秀吉の時に没収され、まだ文禄征韓の役起こるや、西尾城主田中吉政戦艦建造の為、本刹の殿堂を以て其の鍛冶場となすに至り、衰頽極まれりと伝えり。まだ寺記に依るに、徳川有親及其の子親氏、永享年中藤沢清浄光院に入りて剃髪す。後嘉吉元年其の臣石川孫三郎を従えて本刹に来住す。蓋し孫三郎の弟当時本刹に住寺たりければなり。後親氏は松平村に移り、有親は享徳元年本刹に寂すとあり。前浜新田平等寺東境称名寺此の寺の支院なり。

三河国碧海郡誌」より

今回紹介する称名寺は非常に松平宗家と非常に所縁のある寺院になります。所縁というか、もっと大げさに言えば、松平家発祥に関っている寺院とも言えます。

①松平家初代「松平親氏」とその父親である「有親」が藤沢の「清浄光院」から「称名寺」に移住する。
②松平宗家六代目「松平信忠」が嫡男「清康」への家督譲渡後の隠居先とした。
徳川家康の幼名「竹千代」を父である「松平広忠」に提言したのが称名寺時の住職「其阿」である。

松平宗家の初代「松平親氏」から八代目「松平家康」まで関わっています。松平家康は、官位の叙任の際、「松平性」から「徳川性」に改性し、結果的には松平宗家は消滅した形になっていますね。

碧海郡誌に出てくる「清浄光院」とは、時宗の総本山である「清浄光寺」になります(別称である「遊行寺」とう寺名のが有名なのかも)。この清浄光寺の境内にある鎮守社「宇賀神社」の由緒には、徳阿弥、長阿弥が登場してきます。

清浄光院」(現在では「清浄光寺」又は「遊行寺」と称しています。)に鎮守社として鎮座する宇賀神社の由緒に次の様に記されています。


「宇賀神社に祀られる宇賀弁財天は、徳川氏の祖とされる有親の守り本尊と伝わります。有親は遊行十二代尊観上人の弟子となり名を徳阿弥と、長男の親氏は長阿弥と名を改めました。そして、次男泰親が独阿弥となり、三河国大浜称名寺に移るとき、清浄光院(遊行寺)に宇賀神社を奉納しました。長阿弥はのちに三河国松平の酒井家の養子となり、独阿弥は松平家の養子となり、その子竹若丸は松平を、次男竹松は徳川信光と称しました。これが徳川家の祖先といわれる由縁です。」

清浄光院に伝わる由緒では、松平宗家三代目である「松平信光」まで一気に登場しています。松平家の事を書き出したら、一体何の記事なんだ?という事になっていまいますので、なるほど、松平家にすごく所縁のある寺院なんだと思って頂ければよろしいかと思います。

いずれ、松平家の発祥に関係する場所を巡り、まとめた記事を書いていきたいですね。

三河新四国霊場を行く

三河新四国七十五番,七十六番札所融通山観音寺」を後にし、東に2~3分歩いた場所にある七十七,七十八番札所東照山称名寺」を目指します。

参拝記

国道247号線が開通するまではメインストリートだったはずの県道50号「名古屋碧南線」の道路沿いに三河新四国の札所案内看板が設けられています。看板のすぐ下は参拝者用の駐車場になっているので、車で巡拝している時は、非常に助かる看板配置ですね。

県道側境内入口

県道側にある参拝者駐車場からの境内入口になります。
寺号標と共に、、家康公幼名竹千代命名の寺の碑が置かれていますね。この碑の裏側には、この竹千代の語源となった連歌が彫られていて、松平広忠の脇句めくりはひろき園のちよ竹」から命名されたといいます。

明智光秀が本能寺の変を起こす直前にも連歌の会を開いているそうで、戦国時代には茶道と共に連歌も武将の嗜みのひとつになっていたんでしょうね。

境内入口

称名寺の外側をぐるっと南側にまわりこむと、築地壁の先に、常夜燈が据えられた称名寺の境内入口が見えてきます。まわりをみても境内入口部分だけ松が植えられている感じで、非常に緑が映えています。

秋葉山常夜燈

常夜燈データ

種  別 秋葉山常夜燈 建立年月 文政四年(1821年)建立
設置場所 碧南市築山町2-66 称名寺境内
形  状 宮立型(宮前型) 基壇3段、土台石4段
竿部刻印 正面「常夜燈」右面「文政四年」
台石刻印
火袋台石刻印 正面「秋葉山」

称名寺境内入口、山門前に据えられている常夜燈になります。
常夜燈正面側がよく見かける向きとは異なっていて、境内の内側(参道側)に向いて据えられています。

鎮守社

秋葉山常夜燈の奥に鎮座している鎮守社になります。掲げられている扁額には「秋葉社・津島社」と書かれています。秋葉山はもしかしたら常夜燈の本殿になるかもしれませんね。

社に立てかけられているスコップの様な物は・・・「十能(じゅうのう)」とよぶ炭火を運ぶための道具を巨大化したものになります。秋葉山が火伏の神様という事で防火を祈願して奉納されたんでしょうね。

かなり大きい十能です。
そういえば、山門の前にここまで整備された鎮守社(鳥居、手水舎完備)が鎮座している寺院はあまり見かけない気がします。小さな祠の鎮守社は山門前に、鳥居などが整備された鎮守社は境内に鎮座している感じでしょうか。

山門

袖壁が設けられている四脚門の山門になります。

山門には、山号である「東照山」と書かれた扁額が掲げられています。この山号はやはり東照宮に因んで付けられたんですかね。

手水舎・水盤

かなり大きな水盤が据えられた瓦葺木造四本柱タイプの手水舎です。
各柱の転びが付けられててかなり安定感のある造りになっています。

本堂

非常に特徴的な屋根の構造を有する本堂になります。
元々は茅葺の屋根だった所に銅製の被せ屋根を設けた感じでしょうか。Google先生で調べてみると、この屋根の造りは「四方蓋造(しほうふたづくり)」という造りなんだそう。四国地方の農村で見かけられる造りだとか・・・。

そういわれてみれば、こういった造りの屋根の建物はまずこの辺りでは見かけませんからね。ということは、どういった経緯でこの四方蓋造の屋根を有する本堂を建造したんでしょうか。

ここ称名寺の本堂の中は、柵でしっかりと内陣と外陣が区切られています。中央には本尊である阿弥陀如来が奉安されています。

本造向かって左手には、弘法大師像が奉安されています。どうやら、こちらに七十七、七十八番札所の大師像が奉安されている様です。

「南無大師遍照金剛」「南無大師遍照金剛」「南無大師遍照金剛」・・・

本尊向かって右側には聖観世音菩薩が奉安されています。
三十三体の観音像が奉安されているので、もしかしたら西国観音霊場の写し観音像なのかもしれませんね。

天満宮

由緒にも出てくる「松平親氏」が奉納したとされる「渡宗天満宮」になります。個人的な感想ですが、寺院の鎮守社で一番多いのは「稲荷社」次いで多いのが「天満宮・天神社」かなと思うのです。

三州大浜東照宮

松平家所縁の寺院というのをかなり印象付けているのがこちらの「三州大浜東照宮」ではないかと思います。いわば徳川家康の霊廟ともいえる東照宮なんですが、こちらは昭和五十七年に建立された東照宮になります。松平家との所縁を考え、江戸時代末期から願いだったんだとか。

社殿は滝山東照宮を模しているんだとか。日本三大東照宮の一社といわれているのが「滝山東照宮」なんですが、日本三大東照宮の内、日光東照宮、久能山東照宮は100%確定なんですが、残る一社を各地の東照宮が自称しているのが現状でしょうか。まあ岡崎市の滝山東照宮は岡崎城の鬼門除けにもなっていますし、家康が生まれた場所でもあるので、由緒的には三大といってもよさげだとは思うんですけどね。

松平家霊廟

境内の中でもちょっと裏手側にあるのが「徳川家祖廟」になります。
こちらには、松平宗家初代「松平親氏」、その父である「世良田(得川)有親」と祖父である「世良田(得川)親季」、そして松平宗家六代目「松平信忠」の墓石を含む三十基の墓石が並んでいます。

松平家の霊廟としては岡崎市の大樹寺が有名ですが、こちら称名寺の霊廟のがまだ豪族に近かった頃の松平家を感じ取れる様な気がします。大樹寺は三河新四国霊場の札所にもなっており三河新四国霊場を遍路されている方は両寺とも参拝することになりますので、是非遍路される時には両方の霊廟を訪れてみてください。

御朱印

参拝を終えて

境内には愛知県が建てたのかな?山号と寺号が彫られた石碑が据えられていました。愛知県と彫られてなかったら、普通に寺号標と紹介する所なんですが、松平所縁の寺院という事で愛知県が建てた碑かもしれませんね。

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所在地を地図で確認

寺院名 東照山称名寺
所在地 碧南市築山町2-66
最寄駅 名古屋鉄道 三河線「碧南駅」徒歩10分

寺院・霊場巡りの際のバイブルに

元々、当サイトは神社巡りを通じて、皆様の住んでいる所にある"村の鎮守の神様"と呼ばれる神社を紹介してくサイトを目指していたんです。むしろ寺院については、縁遠いものとおもっていたんですよね。しかし、ちょっとした御縁で弘法大師霊場に出会い、そして愛知県では一番活動が盛んな"知多四国霊場"を巡礼、結願する事になりました。でも、神社の事はある程度知識があっても、寺院については未知の世界だったので、少しでも巡礼の時に役に立てばと思い、こちらの本を読ませて頂いております。

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少しでも巡礼の時にお役に立てる事もあるかと思います。是非一度読んでみてくださいませ。

次の目的地は?

三河新四国霊場七十七,七十八番札所東照山称名寺」を後にして、県道50号線を北上し七十九,八十番札所南小山 清浄院」を目指します。

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