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在原氏墓所(愛知県豊田市松平町)

令和四年新企画のお知らせ

新企画「愛知県下新十名所」

 新愛知新聞社が昭和二年(1927年)に「愛知県の新十名所を読者投票で決定する。」というイベントを実施します。愛知県下を狂気の投票合戦へと誘ったこのイベントへの投票総数は驚異の1400万票以上。また、100票以上の投票を集めた名所候補は67カ所にも上ります。2022年、当サイトではこの67ヵ所の名所を巡り紹介していこうと思います。

在原氏墓所とは?

 松平郷を切り開いたとされる在原氏の墓所が「八幡神社松平東照宮/紹介記事」が鎮座している場所から北西側の山中にあります。

 この在原氏の墓所には松平郷に伝承されてる「松平家由緒書」に出てくる康永年間(1342-45年)に京よりこの地に下ってきたという公家の「在原信盛」、そしてその子「在原信重」、さらにその娘「水女」の三基の墓石が並んでいます。

 上記の系図が「松平家由緒書」に記されている在原氏と松平氏の関係図になります。在原重盛、信重が切り開いた松平郷に入婿の形で領主を継いだのが松平家初代松平親氏になります。

 在原氏といえば、伊勢物語で有名な在原業平が有名な一族なんで上の系図でも在原業平に繋がるかなと思ったのですが、何やら鈴木氏や賀茂氏の末裔という説もあるんだとか。このあたりはいったもん勝ち的な部分もある感じがするので、真相はよく解らない部分でもあります。

 在原信重が父重盛の菩提を弔うために建立した寺院が寂静寺だったのですが、その後松平郷に入郷した松平親氏は寂静寺住職であった見誉寛立に帰依し開山し「本松山高月院/紹介記事」とし、松平家の菩提寺としています。本来でしたら在原氏の菩提寺も高月院のはずなのですが、在原氏の墓地は高月院内ではなく、在原氏の館(松平太郎左衛門家館)のすぐ近くの山中にあります。自分の考えなのですが、元々は高月院内に在原氏の墓石もあったはずですが、江戸幕府による改修造営工事の際に現在の場所に移されたのでは?と思っています。

訪問記

 松平郷の共同駐車場から松平東照宮の門前を道なりに市道沿いに北東方面に進んでいくと、在原氏墓所の案内板とその脇に山中に続く階段が見えてきます。道路の拡幅工事で非常に分かりやすくなったんだろうと思います。この山は松平東照宮から続く一連の山で、その昔は在原氏の館の敷地だったんじゃないのかなと思います。

松平郷々主 在原氏の墓所

松平氏の遠祖は、在原氏を称する公家で、康永年間(1342-45年)に都から三河医下り松平郷を開いたといわれています。
松平郷の住した初代は在原信盛といい、二代信重は弓馬と連歌に長け、家は栄え、富を蓄え、その名は三河一帯に広く聞こえたといわれています。
応永(1394-1428年)の頃、諸国を流浪中の遊行僧、徳阿弥が信重のもとに入婿し、松平太郎左衛門親氏を名のって松平家発展の始祖となりました。
この地には、在原信盛、信重と親氏の室、水女の墓所があり、在原山と呼ばれています。

豊田市教育委員会

 ※入口に設置している案内板では、親氏は遊行僧(時宗僧侶)であるとしています。

 ここの入口に設置されている道標は「氏親公行場跡/紹介記事」と「松平東照宮」が載っています。ここ在原氏の墓所にくる方は東照宮方面から歩いてくる方が大半だと思うので、ぜひとも行場跡まで足を延ばしてほしいです。

 階段を上がった先は、山の中を登っていく事になります。100mか200m弱程なんだと思うのですが、上り坂&山道で思ったより遠くには感じます。上った先には・・・

 基壇の上に石造の瑞垣が設けられた在原氏の墓所が見えてきます。
 中央が在原信盛、右側が在原信重、左側が水女とそれぞれの墓石がならんでいます。元々は宝篋印塔だったんだろうとおもうのですが、欠損部分がかなり多く原型は正直留めていない感じです。

 墓石奥にそれぞれの法名、俗名、没年月などが記された物が建てられていますが、ここで特に注目なのは、向かって左手の水女の物ですかね。史料などによっては、庶長子が信広、嫡男が信光とする物もあったりしていました。これは徳川家康に通じる岩津松平家初代となる信光を宗家筋であるとする為だともいわれています。が、ここでは信重水女親氏夫人長男信廣(広)、次男信光の母と書かれています。おっと、さらに、信広、信光は泰親の子ではなく親氏の子としている所も広く知られている松平氏系図ではなく、「松平家由緒書」の説を採用しています。

 在原信盛が延文五年(1360年)十月十五日没
 在原信重が明徳三年(1392年)二月十八日没
 水女が応永三十三年(1426年)三月三十一日没

地図で所在地を確認

史跡名在原氏の墓所
所在地愛知県豊田市松平町赤原地内
最寄駅豊田おいでんバス「松平郷バス停」徒歩11分

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