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青龍山 金蓮寺(西尾市吉良町饗庭) 三河海岸大師 二十九番札所

2019年2月11日

令和四年新企画のお知らせ

新企画「愛知県下新十名所」

 新愛知新聞社が昭和二年(1927年)に「愛知県の新十名所を読者投票で決定する。」というイベントを実施します。愛知県下を狂気の投票合戦へと誘ったこのイベントへの投票総数は驚異の1400万票以上。また、100票以上の投票を集めた名所候補は67カ所にも上ります。2022年、当サイトではこの67ヵ所の名所を巡り紹介していこうと思います。

寺院情報

寺院名青龍山 金蓮寺
所在地愛知県西尾市吉良町饗庭七度ヶ入一番地
御本尊不動明王
宗 派曹洞宗
創 建不詳
札 所三河海岸大師 二十九番札所
三河海岸大師 三十番札所(安楽寺)
(旧)三河新四国 十七番札所
三河観音霊場 二十七番札所
三河西国観音 十五番札所
東海不動尊 二十番札所
吉良西国観音 二十四番札所
御朱印
H P
前札所霊場名次札所
二八番:浄正寺【廃寺】三河海岸大師三〇番:安楽寺【廃寺】
十六番:無量山専長寺(旧)三河新四国十八番:北星山西福寺
ニ六番:荻原山海藏寺三河観音霊場二八番:片岡山華藏寺
十四番:南向山観音寺三河西国観音十六番:瑞境山実相寺
十九番:西浦山無量寺東海不動尊二一番:鶴林山大御堂寺
二三番:不明吉良西国観音二五番:不明

安楽寺(昭和三十四年廃寺により金蓮寺に合併)の札所

前札所霊場名次札所
ニ七番:白峰山 円通院三河海岸大師二九番:青龍山金蓮寺
十四番:白峰山 円通院東条吉良観音十六番:北星山西福寺

参拝日:2018年9月13日

沿革・由緒

沿革・由緒

始めは不動松の地にあり。往古真言宗にて尾張光福寺塔頭青龍坊なり。足利尊氏暦應二年この地に引移し青龍坊金蓮寺と号す。本尊弥陀は山城天龍寺本尊なりしを暦應三年尊氏天龍寺建立の際小佛なる故当寺に移す。弘法大師作と伝わる。羽黒山の山科坊を称して住持となす。三社三箇寺の一として三町三段寄附す。文和元年小田原より不動院下り至徳元年より妙鶴丸祈願所となる。文治年中、源頼朝、藤九郎盛長をして三河に七御堂を作らしむ。阿弥陀堂是なり。武田番匠作る所、弥陀尊象は運慶作と伝わる。明治二十三年内務省より金百圓下賜せられ、大正九年四月十五日特別保護建造物に指定される。

「幡豆郡横須賀村誌」より

小紀行「酒井氏発祥の地と金蓮寺」

西尾市吉良町酒井にある「酒井氏発祥の地」からは矢崎川を越えた場所にあるのが「青龍山 金蓮寺」になります。当ブログでは何度か出てきている、足利尊氏による饗庭郷(後の饗庭七郷)の新田開発によって創建された三社三箇寺の内の一寺になります。時代的な流れでいうと、元々金蓮寺が建つ場所には、安達盛長が建立した弥陀堂が建っていて、足利尊氏がこの地に青龍坊金蓮寺を元の寺院と合併するような形で移設させたのかなと想像しています。

饗庭郷三社三箇寺とは?
三社:小山田の神明社、饗庭の牛頭天王社(現在の饗庭神社)、友国の春日神社
三寺:青龍山 金蓮寺、萬松山 勝楽寺、医王山 正法寺

小紀行「酒井氏発祥の地と金蓮寺」

参拝記

矢崎川の左岸の友国山の南西側の麓に金蓮寺は建っています。金蓮寺の南側から三河湾までは平坦な田園が広がっていて足利尊氏の新田開発の雰囲気を感じることができます。

吉良町を南北に抜ける県道42号線「荻原御用田」交差点には「アイバ不動 国宝 金蓮寺」と書かれた看板が設置されていて、矢印の方向に進んでいくと、金蓮寺にすぐにたどり着くことができます。駐車場は非常広くとられているので、心配いらないとおもいます。

境内入口

金蓮寺の正面入り口には、石灯篭が一対、石柱門の他に、石柱門の左右に地蔵堂があり、更に、向かって右には三河海岸大師二十九番札所の案内石柱があり、向かって左には三河西国観音十五番札所、吉良西国観音二十四番札所の案内石柱が立っています。

石灯篭の竿石部分には、本尊である不動明王と彫られていますね。あまり灯篭の竿石部分に本尊の名前を刻んでいる所はないかな・・・秋葉山はたまに秋葉三尺坊と彫られていますか。・・・

竿石に、薬師如来 とか 千手観音 って彫られている所はない・・ですよね。

入口からまっすぐ参道が伸びている先には、国宝の弥陀堂が建っています。

弥陀堂

金蓮寺は、古くから三河国幡豆郡の吉良荘の饗庭(あいば)にあり、阿弥陀如来を本尊とする。創立は、寺伝によると文治2年(1186)源頼朝と三河国守護の安達九郎盛長により建てられた三河七御堂の一つといわれる。当初は真言宗であったが、寛政9年(1797)に希外透聞和尚を開基として曹洞宗に改められた。弥陀堂は、平安時代の浄土信仰の中で極楽浄土を求めて建てられた阿弥陀堂の系統に属し、その遺例は中尊寺金色堂(岩手・国宝)などに見られる。それらは方三間、総丸柱で、中央に四本柱を立てて尊像を祀る有心堂の仏堂であったのに対し、金蓮寺弥陀堂は桁行3間、梁間3間、寄棟造、檜皮葺、正面に庇を出し、左側面後方に2間の庇を加え、周囲に落縁(おちえん)を巡らした邸宅風の意匠を取り入れた仏堂であり、同種の建物としては金剛峰寺不動堂(和歌山・国宝)がある。内部は四天柱を用いず、来迎柱2本を側柱列より後退させていることから、鎌倉時代中頃の建物と考えられている。

愛知県「文化財ナビ愛知」より

https://www.pref.aichi.jp/kyoiku/bunka/bunkazainavi/yukei/kenzoubutu/kunisitei/0044.html


この弥陀堂ですが、昭和29年まで瓦葺だったそうです。昭和30年に解体修理した際に瓦葺から檜皮葺に復元されたんだとか。建築様式から安達盛長が建立した平安時代末期ではなく鎌倉時代中期の建築ではないかとされています。

金蓮寺に建てられていた弥陀堂の説明板では、解体修理される前の瓦葺時代の弥陀堂の写真が載っています。が・・・見るからに造りが変わっているのですが、その辺は大丈夫なんですかねえ・・・・。

この姿が当時の姿なのかはともかくとして、つい見とれてしまう様式美がありますね。

弥陀堂の中には、愛知県の指定文化財になっている「木造阿弥陀如来及び両脇侍像」が弥陀堂本尊として鎮座しています。本尊は鎌倉時代で脇侍像はなんらかの原因で失われm江戸時代に補作された物なんだとか。

手水舎・水盤

手水舎には、昭和の解体修理まで弥陀堂の屋根に掲げられていた鬼側が展示されていて、弥陀堂の修理基金の募金箱が置かれていました。

お不動さんの名水

友国山周辺には、名水と呼ばれた井戸が何ヶ所かあったようです。
饗庭、友国、小山田、青峰山と昔の海岸線沿いに井戸なり湧き水が出ていた様ですね。

本堂

切妻瓦葺平入の本堂になります。
中央には不動明王が安置されています。写真で開いている扉で御朱印を頂くことができます。

観音堂?焔魔堂?

宝形造の向拝の設けられた建物です。扉が閉められていたので中を窺う事ができなかったので、この建物が観音堂なのか十王堂なのか判断ができませんでした。ただ、建物の前に掲げられた案内板には、西尾市の指定文化財になっている「写経大般若経」の説明が書かれています。この建物に保管されているということでしょうか・・・。

三十三観音堂

この金蓮寺にも、西国三十三観音の移し本尊が安置されています。
いつの日か、西国観音霊場も行ってみたいですね。

秋葉山常夜燈

常夜燈データ

種  別秋葉山常夜燈建立年月不詳
設置場所愛知県西尾市吉良町饗庭七度ヶ入 金蓮寺境内
形  状宮立型(宮前型) 基壇3段、土台石2段
竿部刻印正面「献燈」外側「平成二十一年十二月吉日再建」
内側「氏子安全」
台石刻印
火袋台石刻印  

金蓮寺の弥陀堂と本堂の間に建てられている常夜燈になります。再建されて秋葉山の文字は消えてしまっていますが、再建前の常夜燈には「秋葉山」と彫られていたそうです。再建前は今建っている物に比べて細長い感じの常夜燈だったようです。

双頭型という感じの常夜燈ですね。
饗庭の集落の北側から地域の安全を見守っている様に建っています。

御朱印

参拝を終えて

愛知県内で国宝に選ばれている建築物は三棟のみだったりします。犬山城、如庵、そして金蓮寺弥陀堂になります。そんな希少な国宝の建築物を間近でゆっくりと鑑賞できる貴重な寺院ですね。
もっと参拝者が増えてもいいのかなと思うのですが、増えたら増えたでゆっくりと拝観できなくなるし難しいところですねえ。

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やはり、旅先の情報はネット検索もいいですが、るるぶなどの旅行ガイド雑誌が一番ではないかなと思います。ネット情報はどうしてもディープになりがちで、いざ旅行に行こうと思っても、俯瞰的な情報が不足しがちな気がします。
やっぱり、"るるぶ"を見ながら、旅の予定表を作っていくのも、旅行の醍醐味ですよね。

所在地を地図で確認

寺院名青龍山金蓮寺
所在地愛知県西尾市吉良町饗庭七度ヶ入一番地
最寄駅名古屋鉄道西尾線・蒲郡線「吉良吉田駅」徒歩25分

寺院・霊場巡りの際のバイブルに

元々、当サイトは神社巡りを通じて、皆様の住んでいる所にある"村の鎮守の神様"と呼ばれる神社を紹介してくサイトを目指していたんです。むしろ寺院については、縁遠いものとおもっていたんですよね。しかし、ちょっとした御縁で弘法大師霊場に出会い、そして愛知県では一番活動が盛んな"知多四国霊場"を巡礼、結願する事になりました。でも、神社の事はある程度知識があっても、寺院については未知の世界だったので、少しでも巡礼の時に役に立てばと思い、こちらの本を読ませて頂いております。

少しでも巡礼の時にお役に立てる事もあるかと思います。是非一度読んでみてくださいませ。

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