織田信長の側室で信忠・信雄・徳姫を産んだという「生駒吉乃」の墓所があるのが江南市田代町にある「嫩桂山久昌寺」になります。吉乃の生まれた「生駒家」の菩提寺でもあった久昌寺は、織田家、豊臣家を通じて庇護された寺院であり、江戸時代になっても織田信雄系の柏原藩によって法要が営まれるなど織田家所縁の寺院であり続けていた様です。
が、そんな久昌寺ですが、大名家の庇護を受けていた寺院あるあるではないですが、檀家も少なく、本堂が文化財指定を受ける程古くなく、そして無住・・・。よく令和の時代まで維持できたなというのが正直な所ですが、本堂が明治から大正時代に造られた物だったので、まだここまで寺院の運営ができたのかもしれませんが、遂に久昌寺も廃寺となる事が決定してしまったそうです。ただ、他の廃寺と異なるのが、久昌寺の境内地は江南市が買い上げたという点ですかね。この辺りは、久昌寺の本堂の脇にある「生駒家墓所」の存在が大きいのかなとも思う訳ですが。
廃寺が決まり、その境内地を江南市が買い上げる事が決まると、続いて起こるのは当然「保存」への要望な訳ですが、自治体が土地を買い上げが決まった以上「寺院」としては存続は不可能な訳で、本尊などの仏像の無い空っぽの本堂を保存して何の意味があるのか・・・。たぶん、久昌寺の近隣の同じ宗派の寺院が本尊を含めた仏像や仏具を受け入れてくれるはずなので、そちらの寺院に「生駒家菩提寺「久昌寺」の本尊が安置されている寺院」みたいな感じで参拝される方を誘導する方法をきちんと整備した方がいい気がします。
令和4年になって、地元の中日新聞に掲載されていたのですが、久昌寺が令和4年(2022年)度中に解体される事が決定し、境内は公園化されるようです。ただ、境内にある生駒家墓所については保存されるようですが、現在の場所から移動整備される事もありえそうです。
本尊の無い本堂なんて保存する意味あるのか?みたいな事をいいながらも、やはり「解体されて見れなくなってしまう前に、一度久昌寺を参拝しておこう。」という事で、2022年2月の「あいちを巡る生活って遠征取材」ということで、2月9日(水)に江南市に向けて出発しました。
しかし、さすがに岡崎から江南は・・・・遠いっすね。
さて、ただ久昌寺だけを見て帰るのではつまらないので、当サイトのポリシーではないですが、目的地周辺の神社仏閣&史跡を巡って行こうと思います。
久昌寺と布袋二十一大師を巡る
- 嫩桂山久昌寺(布袋二十一大師三番札所)
- 生駒家墓所
- 吉乃館跡
- 龍神社
- 生駒邸跡
- 神明社
- 宝頂山墓所
- 般若寺(布袋二十一大師六番札所)
- 常願寺(布袋二十一大師二番札所)
- 宝蔵院(布袋二十一大師一番札所)
- 松岩寺(布袋二十一大師七番札所)
- 八剱社
- 薬師寺(布袋二十一大師八番札所)
- 南山神明社
- 観音寺(布袋二十一大師四番札所)
- 神明社
- 本曽寺(布袋二十一大師五番札所)
村基山薬師寺(愛知県江南市北山町)
江南市北山町にある曹洞宗の寺院である「村基山薬師寺」の紹介になります。江南市史では、江戸時代の創建の寺院であるとし、現在本堂前には切支丹石灯籠が据えられているとしています。布袋二十一大師、尾張国四郡大師
丹羽山本曽寺(愛知県江南市曽本町)
江南市曽本町に建つ曹洞宗の「丹羽山本曽寺」の紹介です。江戸時代に創建された寺院であり、境内入口には「足止め六部さん」の看板が設置されています。布袋二十一大師、尾張国四郡大師
神明社(愛知県江南市曽本町)
江南市曽本町に鎮座する神明社の紹介です。詳細は不詳なんですが、江戸時代には曽本の集落には神明社の他に天神社が鎮座していた様で、現在では天神社は神明社の境内社となっています。
八剱社(愛知県江南市北山町)
名鉄布袋駅近くに鎮座する「八剣社」の紹介です。創建時期は不詳ですが、元々は石作神社という尾張国造の祖「火明命」を御祭神とする神社だった様ですが室町時代に八剣社に改称したみたいです。
仙境山松岩寺(愛知県江南市布袋町)
名古屋鉄道犬山線の布袋駅から北に2~3分歩いた場所に建つ曹洞宗の仙境山松岩寺の紹介です。明治七年に緝煕義学校がおかれ、児童教育の場となった寺でもあります。布袋二十一大師霊場
今回の参拝遠征のコンセプトは「生駒氏と布袋大師」って感じですかね。
織田信長の側室「吉乃」である生駒氏と何時誰が開創したのかすら不明となっている布袋二十一大師霊場の札所となっている寺院を中心に、そして当サイトとしては外せない神社参拝を合わせたコースとなっています。地図上で見るとまさに生駒氏または久昌寺の所領をぐるっと巡る感じと言えるかと。
ただ、残念ながら令和四年に巡ろうと思っている「愛知県下新十名所」関連の場所は一ヶ所も巡れませんでした。こちらは3月の遠征企画で巡って行きたいですね。
今回の遠征企画の最初の目的地は当然「久昌寺」になります。ルートを考えると久昌寺を一番最初に訪れてしまうと後の廻り方に影響がでてしまうのは分かっていたのですが、岡崎から江南に向かった目的地でもあるので、やっぱりここは一番最初に行ってみようという事で現在は「久昌寺公園」として整備されてる久昌寺に到着しました。
ここから最長3時間ほどの短期間滞在の久昌寺周辺巡りが始まります。